PlayStation2いただきストリート3 億万長者にしてあげる! 家庭教師付き!
新規ユーザー開拓を視野に入れた作りへ
過去シリーズのリリース期間と同じく、前作から4年が経ち、プレイステーション2用ソフト『いただきストリート3 億万長者にしてあげる! 家庭教師付き!』が登場した。
プラットホームをPS2に移行した『いただきストリート』はMAP表示が3Dになり、新マップの中にはチャンスマスに併設されたスイッチによるマップの移動や変形、チャンスカードによるエリア追加といった仕掛けも登場。特にスイッチマスによるマップ形状の変化イベントは、後のシリーズにも採用されることとなる。
チャンスカードは追加だけでなく一部見直しも行われ、過去作からお馴染みの一部マップではチャンスカードがいくつか入れ替えられている。追加されたチャンスカードには「増資効果2倍」や「お店2件買い取り」等の強力な効力を持つものが多い。そのため、カードが引かれたタイミング次第では場を壊すような形勢逆転や独走状態のチャンスが一瞬にして発生する事もある。その反省からか、上記のチャンスカードは後のシリーズには登場してない。
強い効果を持つチャンスカードや、空き地改築時のシステム変更いたスト3 前作からの変更点03 / 詳細、新規マップジパング / 詳細の空き地モード時の"ハメ"が可能なマップなどこれらの作りが、新規ユーザーには「派手に楽しめる要素」として受け入れられるかもしれない一方で、既存のユーザーにはゲームバランスが悪く見え、後述する人間以外の対戦キャラも手抜きに映りうる要因になっている。
システム面に目を移すと、ゲームのセーブ方式は『いたストゴージャスキング』と同じくマニュアル方式。AIキャラ関連では『ゴージャスキング』で廃止されたAIキャラ同士の取引が復活し、AIキャラの思考も個性が強くなっている。
微かな繋がりを残し、一新されたキャラクター達
キャラクターデザインは『いたスト2』『いたストゴージャスキング』に引き続き大川清介氏ではあるものの、登場するキャラクターが一新されたため、残念ながら、過去シリーズから4年歳を重ねたキャラ達とプレイする事は出来ない。しかし『いたスト2』以降のファンサービスなのか、かおるこの妹設定キャラが登場しており完全な別世界扱いではない模様。
いただきストリートの概要 シリーズ別登場キャラクター一覧表 『いたスト2』~『いたスト3』 / 詳細
『いたスト』には、この手のゲームには定番といえる設定の対戦キャラクターに加えて、当時の世を賑わした人や出来事、作中人物がモデルと推測される対戦キャラクターが見受けられる。しかしこの手法を取りつつ、4年前までの登場キャラクターをリセットするということは、前者の定番設定キャラクターも切り捨てるということ。後者に至っては、製作期間を考慮すると1998年から2001年の3年程度しか「話題と人物」の採取期間が確保できないため、新規キャラクター作りの苦しさが目に浮かぶ。実際そのキャラクターには人間以外の"ネコ"、"サバ"、"ロボット"なども登場しており、効果の程は別として演出でも新たな試みがみられる。
家庭教師モードと育成モード
サブタイトルにあるように「家庭教師」(キャラクターデザイン:山崎太郎、CV:芳野美樹、CV:鳥海浩輔)も登場し、初めて『いたスト』をプレイする人でもすぐにコツを覚えられる「家庭教師モード」が用意されている。その【家庭教師モード】では『いたスト』の基本から【10株売り】といった応用テクニックまで、その状況に合わせて指導してくれるものの、ルート選びや売り買いするエリア株の指示のなかには、それなりに経験のあるプレイヤーからすると「?」マークが付かざるをえない指示が時折あるのも事実。
もうひとつのゲームモードにオリジナルキャラクターを育てる【育成モード】がある。しかし、メーカーから育成方法についての情報がほとんど公開されていないことに加え、育成の結果が現れるまで相当な試合数(プレイ時間)を必要とすること、数値化されたキャラクターの能力値と実際にみせる強さとの相違など、掛かるプレイ時間に見合う出来かは評価の分かれるところ。いたスト3育成モード / 詳細
ビジュアルとシステムを半歩進めた結果は
PS2の持つ高解像度表示とエフェクトを使ったゲーム画面からは真新しさを感じるものの、使用するTVの画質によっては相性が悪く文字が読み取り難かったり、一部エフェクトなどがギラギラして眩しい場合がある(※ ブラウン管TVが主流だった時代の話)。これは管理人自身の経験のみならず、当サイトBBSにもいくつか指摘が寄せられていた。
また『いたスト3』のグラフィックは、前2作にみられた「にぎやかさ」や「あたたかみ」が薄らいでいる。ただし、*1このグラフィックデザインは堀井雄二氏の「もっとダサくして欲しい」という要望にそったもので、当初制作してたグラフィックとはデザイン性が異なる
とのこと。
過去作のマップを大幅に収録し、シリーズ最高の31マップが収録され「いたストアーカイブス」的な顔も見せる『いただきストリート3』。既存シリーズ未経験プレイヤーには過去作で「名作」の呼び声が高いマップをプレイするチャンスが、そして従来からのプレイヤーは「既存マップ」+「新規空き地用店舗」+「新規チャンスカード」が生み出す新しいゲーム展開を体験できる。
一部の新作マップには新システムの検証不足が招いた不具合もみられる。しかし、マップに関する新システムは後のシリーズにも引き継がれ、「いたストにおける革新的なシステム」の登場作品となった。
なお、本作発売に際し"家庭教師"繋がりで「家庭教師のトライ」とのコラボレーション(タイアップ)広告が行われたが、「教育」と「遊び」という組み合わせもあってか、ほとんど話題にならずに終わっている。
※個々の詳細はいただきストリート シリーズ比較ページ / 詳細へ
*1「いただきストリート3 億万長者にしてあげる―家庭教師つき!タクティクスガイドブック」"特別企画:チーフプロデューサーに聞く"より (ソフトバンククリエイティブ)
いたスト3『いただきストリート3』商品情報
商品情報関連
ゲームソフト 商品情報
販売サイト
※ スクウェア・エニックス e-STOREでの取り扱いは無し
『いただきストリート3』ガイドブック・攻略本
PlayStation2
『いただきストリート3』関連サイト
- スクウェア・エニックス / 『いただきストリート3』紹介ページ(2005/4/15のサイトリニューアルに伴い、公式サイト削除の模様)
- スクウェア・エニックス / PS2作品紹介リスト(『いたスト2』『いたストゴージャスキング』には作品紹介ページが用意されているが、何故か『いたスト3』に関しては無し)
- 『いただきストリート3』開発会社 / クレアテック
- 『いただきストリート3』開発会社 / タムソフト
- 『いただきストリート3』家庭教師のデザインを担当された山崎太郎さんのサイト / ENIGMAX?